法華寺について
本 尊
国 宝
十一面観音菩薩立像
像高1.00m 一木造 通常非公開
(春と秋に期日を限って特別開扉)
本尊・十一面観音菩薩立像は良質の榧(かや)材の木目を生かした檀像(だんぞう)風の一木造で、蓮のつぼみや葉を後光のように配した珍しい光背を持ちます。そのお姿は光明皇后が蓮池を渡られる姿を写したものと伝えられてきました。
長年秘仏であったため造立当初の姿をよく保っており、目鼻立ちのはっきりとしたお顔や唇のほのかな紅の色、天衣(てんえ)の端をそっとつまんだ長い右腕が印象的です。左手には宝瓶(ほうびょう)を持っています。また右足は膝から浮かせて少し前方に踏み出し、親指の先を軽く跳ね上げているのも特徴的です。
透けるように薄い衣に包まれた豊満な弾力感ある体部、そして静から動への一瞬を捉えた表現は、1mの小ぶりの像とは思えないほど充実しており、天平時代の風格をそなえつつ、密教の影響をよく表した傑作といえるでしょう。なお春・初夏・秋の特別開扉以外の期間は、ご分身像(大仏師 松久朋琳作)を拝していただけます。